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「軽い」けど「タフ」な登山靴。保温性の高いローバーのウィンターブーツ

ローバー/アルパインエクスパートGT

文:北村俊之(国際山岳ガイド)

本ページの内容は商品インプレッション記事のため、使用者個人の感想を含んでおります。

「軽すぎる」と思えたウィンターブーツ

このアルパインエクスパートGT、最初に手に取ってみた時に感じたことは、(失礼ながら)「ホントにこれで大丈夫なの?」という不安だった。それと言うのも、雪山用の登山靴にしては「軽すぎる」のであり、その事が何となく「頼りない」印象と結びついたのだ。一昨年、昨年と春、夏、秋の無雪期にメインで履いているローバー・チェベダーレプロGTと比べても、片足たった70gプラス(2019年モデル、UK8サイズでの比較)になっただけだ。私は冬用登山靴というと、プラスチックのダブルブーツを使用していた時代が長く、その後インシュレーション(保温材)入りの革のブーツへと移ったのだが、「保温性の高い靴」=「堅牢な重厚感があるもの」というイメージが強く、実際、手に取ると夏用の靴とは違う、ずっしりとした重みがあったものだ。このアルパインエクスパートGT、私にとっては軽すぎると思ってしまう靴だったのだ。

  • photo防水、防風性能を持つゴアテックス素材に、保温材としてPrimaloft®400を内蔵
  • photo軽さを実現するため、新開発の軽量ミッドソールを採用。サイズUK8で片足870gを実現。

雪山での“歩きやすさ”を実現した登山靴

日本の冬山の場合、ヨーロッパアルプスの様にいきなり雪(氷河)の上に出て、クランポンを付けて歩くようなことはあまりないといえるだろう。日本では、積雪の無い、または雪の少ない登山道を数時間(あるいは丸1日)歩き、その後現れた固くなった雪や氷の上でクランポンを付けることが多い。従来の冬山登山靴=重くて歩きづらい靴で、我慢して長距離を歩かなくてはいけないのは苦痛に感じていた。

今回の山行は、岩手県の地元の通いなれた山での足慣らしがてらの登山だった。積雪の少ない登山口付近から、真冬の様相の頂上稜線まで登っていく初冬の山だったので、この靴の使い心地がいかなるものか、非常に興味が有った。結論から言えば、春~秋に履いているチェベダーレプロGT の持つ歩き易さに、厳冬期の山でも通用する保温性をプラスした様な優れた性能を持っていると思った。

  • photo冬の早池峰で冬靴をテスト
  • photo足の取り回し、歩きやすさが抜群と感じられた

ウィンターブーツ本来の目的=保温性が高いタフな登山靴を実現

木の根や岩が入り組んだ上に、フカフカの新雪がふわっと載った状態の登山道は非常に歩きにくいものだが、軽量なこの靴を履くと足が軽いためにフットワークが楽で、足首の自由も効くのでバランスもとり易かった。稜線に入ると、今度は強風と低温で雪面が凍った状態になり、気温はマイナス10℃未満程度とさほど低くは無いものの、風速は時折15m程度あり、体感気温はマイナス20℃位を感じるようになった。このため、手の指先は少しジンジンすることもあったが、足については全く寒さを感じる事は無く、保温性能の高さを実感した。これだけ保温性能が高いと、下山する際に靴の中が汗でびっしょりになるかと思いきや、ゴアテックス採用の効果か靴の中はサラっとしていて最後まで快適だった。シングルブーツだと、山中で内部が濡れてしまった場合、リカバリーが大変なので、これも冬靴で非常に大事な性能である。

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    フィットウィング、ローラーアイレット、C4タング、Xレーシングなど、細かな部分に歩きやすさを追求する技術が盛り込まれている
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今回の登山で分かったことは、このアルパインエクスパートGTは、最初に見た時の私の印象とは異なり、この靴は厳しい冬のコンディションでも充分信頼できるタフな、正真正銘の「ウィンターブーツ」である事だ。
LOWAさん、「頼りない」なんて言ってスミマセン(笑)。今年の冬は、この靴を使う機会が増えそうである。

この記事は2020年1月現在の情報をもとに掲載しています。

photo北村俊之(きたむら としゆき)
日本山岳ガイド協会認定国際山岳ガイド。8000m峰8座の登頂経験をもち、ヨーロッパアルプスなど海外の山から、北アルプスなど国内の山岳まで、幅広くガイディングを行なっている。立山ガイド協会に所属しており、国内のホームグラウンドは立山・剱エリア。

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