IWATANI-PRIMUS イワタニ・プリムス株式会社

Base Camp イワタニ・プリムスがお送りするアウトドアを深く楽しむための情報ページ

アウトドアにお出かけになる場合は、引き続き、当該地区の自治体や受け入れ場所等から要請される感染防止に関する内容に協力するとともに、新しい生活様式に基づいた行動を心がけましょう。

水遊び天国の日本で川遊び!「SUPツーリング&キャンプ」の魅力とおすすめアイテム

文・森山伸也 写真・大森千歳

いやはや、近頃の夏は何もする気が起きないくらいに暑い。
アウトドアへ出かけるとなると、ついつい足は水辺へ向いてしまいます。
みなさんにとって青空の下での水遊びといえばなんでしょう? 
海水浴? 沢登り? 渓流釣り? シュノーケリング?
ぼくにとっての水遊びは、もっぱら愛犬と出かけるSUPツーリング&キャンプです。
空気を入れて膨らませるSUP(スタンド・アップ・パドル)にキャンプ道具と食料、キンキンに冷えた飲み物を積んで、川や海を移動し、水辺で冷をとりながら、焚き火を囲んで過ごすというシンプルな遊びです。
いや、SUPでの移動はマストじゃありません。湖畔や河原、海岸にベースキャンプを張って、SUPで水面を散策して、水面を流れる風にあたっている瞬間が「これぞ日本の夏!」という気分になって清々しいのです。
こんなふうに↓。

photo

高知県は仁淀川の支流、土居川にて。「宮崎の河原キャンプ場」は、静水でSUPツーリングを楽しめる初心者向けのフィールドだ。


SUPは自由な乗り物

SUPは、カヤックと違っていつでもどこでも水面に飛び込める乗り物です。体が火照ったら、ジャボン。魚を見つけたら、ジャボンといつでも水の中へ。そして、誰もが容易にSUPのデッキへ「よいしょ」とよじ登ることができます。SUPの上と水中を行ったり来たり。カヤックやカヌーではこうはいきません。
インフレータブルタイプなのでたためば小さくなるし、カヤックより軽いし、ツーリングモデルなら積載量はカヤック並み。電車やバスなどの公共機関を使った川旅も滑らかに進みます。
そう、SUPの魅力はなんといっても、カタチにこだわらず自由なことでしょう。座ってもいいし、立ってもいいし、寝転んだりしてもいい。デッキに乗らず、ビート板のように両手でつかまって流れに身をまかせることも。
まっすぐ進むにはちょっと練習が必要ですが、誰もがすぐに慣れて夏休みの定番アクティビティーとなるはずです。

photo

和歌山の清流、古座川を2泊3日でゆっくり下った。体が火照ったらジャボンと飛び込み、風景を楽しみながら、水の流れに溶け込むように旅をした。

キャンプツーリングの魅力

キャンプ道具をどのようにSUPに積むのだろう?と疑問に思われるかもしれません。かさばって重いキャンプ道具は、前方にくくりつけます。すると、先船が波に翻弄されることなく安定します。体とSUPを連結する流れ止めとなるリーシュは必要ですが、川を下るときはクイックリリース機能のついた腰に巻くモデルがマストになります。足首に付けるタイプだとSUPだけ岩や流木に挟まったときリリースできずに非常に危険なのです。

photo

これが1泊2日オーバーナイトツーリングのパッキングスタイル。マイSUPはアメリカ・コロラド生まれの『HALA』ツーリングモデル” NASS”。

リバーツーリングは、パドリングをして川を下ることが全てではありません。支流で竿を振って魚を獲ったり、水面からしかアクセスできない岩場でボルダリングしたり、SUPでしか近づけない岸に上陸しておもしろいカタチの石や流木を集めたり。リバーツーリングには、さまざまな楽しみ方が眠っています。
キャンプサイトは、もちろん誰もいない河原となります。河原のより高い場所へ上がって安全なキャンプ地を探します。急な雨による増水や上流にダムがある場合は放流があっても危険でない場所を選びます。現在地が晴天でも、上流で大雨が降ると川は一気に増水するので、水面観察を怠ることはできません。集めた流木で火を熾し、調理して、ゆっくりとしながら静かな夜を過ごします。

photo

天塩川の支流でフライフィッシング。ニジマスが釣れた。

ぼくは川だけでなく、海岸線もSUPで旅をします。SUPはカヤックよりも波や風に弱いので、海が凪いだ日に限られますが。
盛夏の寝床は、風が通るタープと蚊帳の組み合わせがお気に入りです。水辺の風ってとっても気持ちがいいもので、24時間その風をずっと受けていたいという願いのまま、この就寝スタイルに行き着きました。

photo

タープと蚊帳の組み合わせ。日本海に浮かぶ島、淡島をSUPで一周したときの一コマ。

川や海をツーリングするときは、サブパドルを1本デッキに乗せておきましょう。メインパドルが万が一、折れたり紛失したりしたときに備えて。波や風の影響を受けやすい海では、ダブルパドルが心強いです。カヤックのように座って漕ぐと、風の影響を受けることなく、確かな推進力を得ることができます。

photo

向かい風に右往左往。サブパドルとして携行したカヤック用ダブルパドルを持ち替えて進む。粟島一周ツーリングにて。

日本は水遊び天国だ

これまでSUPで国内のいろんな川を下ってきました。
キャンプ道具とともにボーダーコリーのSUP犬、モリコを乗せて。
天塩川、釧路川、信濃川、千曲川、古座川、仁淀川、錦川・・・。
日本には素晴らしい川がいっぱいあります。山を削りとる透明度が高い清流もあれば、魚や海苔が人間の糧となり密接に繋がる川もあれば、人を寄せ付けない希少な野生動物の住処となるワイルドな大河もあります。

photo

屈斜路湖から流れ出て、太平洋に注ぐ釧路川を下る。エゾシカの親子が茂みから顔を出し、オジロワシが頭の上を飛ぶ。世界に誇れる日本の名川である。

しかしながら、日本では川下りをするひとをあまり見かけません。
アルプスのテント場は大混雑しているのに、河原でキャンプしながら川を旅するひとはほとんど皆無です。
ここがヨーロッパやアメリカだったら・・・。きっとカヤックやカヌー、SUPに乗った家族やカップル、若者たちで川はもっと賑わっていることでしょう。
欧米諸国に比べ、日本人は川を生活圏から切り離して、川を身近に感じることはあまりないようです。
なぜでしょう? それは「川にはぜったい近づいてはいけません!」と幼い頃から教育されてきたからです。
たしかに、昨今の大雨による河川の氾濫、土砂災害などのニュースを見ていると、日本の川は人間が予測できない恐ろしさを持っています。でも、その大雨があるからこそ、ヘドロなどを洗い流し水質が保たれ、水辺の生態系が潤い、繁殖し、豊かな日本の川を作り出しているということにも目を向けるべきです。

photo

仁淀川の瀬をいく。海や湖もいいけれど、やっぱり夏は流れがある川がおもしろい。体を一気に冷やす沈も待っている。

日本の自然を謳歌できるSUPツーリング

猛暑の夏に続いて残暑厳しい秋と、最近の気象傾向が影響しているのか水のアクティビティーは盛り上がりをみせています。
初心者でも容易に挑戦できる湖上カヌー試乗会、シャワークライミング、パックラフトによる急流下り、SUPによるリバーツーリング、シーカヤックによる離島ホッピング・・・。
これを機会に水のアクティビティーがもっと日本で盛り上がりを見せると、昨今のアウトドアブームが水辺へもじわじわ広がり、より深く自然と繋がるものになって、日本独自のカタチで根付いていくのではと、アウトドア業界に身を寄せるひとりとして期待を寄せています。
水の国、島国日本に住んでいるからには、水辺でもっと遊ばないともったいないですもん。
水面を歩いているようなSUPツーリングという新しい川旅のスタイル、ぜひみなさんもチャレンジしてみてはいかがでしょう。

注意!

SUPで川や海へ漕ぎ出すには、ある程度のスキルと経験が必要です。初心者の方は、まずツアーや試乗会に参加して艇を自由に操れる技術を習得しましょう。SUP等での水辺での遊びにはライフジャケット、フローティングベストなど安全装備を必ず身に着けるようにしましょう。
キャンプをする場所は天気の情報に注意を払いながら、安全が確認できる場所で行ってください。キャンプ禁止地での幕営はやめましょう。

おすすめのアイテム
プリムス エアリルS

プリムス エアリルS

焚き火のうえに置いて、鍋をかけたり、肉を焼いたりできるグリルスタンド。SUPキャンプの熱源は、おもに流木を燃やす焚き火なので、こういうスタンドがあると調理が捗ります。かさばらず、重量1.2kgだから気軽にSUPに積めます。

トランギア メスキット

トランギア メスキット

1〜2人分の調理をするのに最適なサイズの鍋とフライパン、アルミベースプレートがセットになったクッキングセット。焚き火にもかけられるタフモデルだから、炊飯や鍋調理など簡単な調理に生きる。

ニーモ テンサーレギュラーマミー

ニーモ テンサーレギュラーマミー

厚さ8㎝のエア式スリーピングパッド。石でゴツゴツした河原や海岸でも、地面の凹凸を感じることなく熟睡できるマットです。小さく、軽いので、車中泊からテント泊縦走登山まであらゆるシーンで使えます。

ニーモ ヘリオ プレッシャーシャワー

ニーモ ヘリオ プレッシャーシャワー

タンクに水を入れ、フットポンプを踏んで圧力をかけることで、どこでもシャワーを浴びることができるポータブルシャワー。キャンプやサーフィン、SUP&カヤックツーリングのあとに、約5〜7分間快適なシャワーを浴びることができます。

森山伸也(アウトドアライター)

森山伸也(アウトドアライター)

アウトドア、登山雑誌で執筆するフリーライター。豪雪地である越後の山村に暮らす。北欧のロングトレイルを日本にはじめて紹介したひとりで、著書に『北緯66.6° ラップランド歩き旅』(本の雑誌社)がある。

PAGETOP