
イタリア工場で高級なレザーをおしみなく使ってできた一足。革でなければ実現することができないフィット感があるのも事実だ。 |
ザンバランの登山靴は、北イタリアのピッコロドロミテと呼ばれる美しい山に囲まれた
自社工場で、今でも職人の手によってひとつひとつ丁寧に作り続けられている。高所用からハイキング用まで幅広いラインナップがあるなかで、この
バフィンGT は長時間歩くトレッキングに最適なブーツだ。
一枚のレザーが生み出すソフトな履き心地

ビブラム3Dソールが路面をしっかりとホールド。TPUスタビライザーなどが足のぶれを防ぐ。これにより安定感のある歩きを実現し、疲労感を軽減できる。 |
足を入れて驚くのが、包み込まれるような履き心地である。その秘密は、ブーツの大部分を一枚のレザー(革)で作ることにあった。一枚だから縫い目や革と革の重なりが少なく、この履き心地のよさを実現している。また、アッパーとベロが一体でありながら、ベロの部分の折り返しが内側に影響しない独自の構造の採用でごわつき感もない。
ソールとミッドソールが疲労感を軽減する
採用されているビブラム3Dソールは、ザンバラン社とビブラム社が共同で開発したもの。最大の特徴は着地時の安定性が驚くほど高いことだ。これは、ソールの幅が広めでエッジが外側に張り出した爪のような形状をしているため、着地したときにエッジがしっかりと地面を捉える構造による。
実際に使ってみると、着地時に足がブレることがない。だから、体勢を立て直そうと足の筋力を余分に使わないですむためラクに歩くことができる。グリップ力も高く、石から石に飛び移るときなどでも滑りにくい。これにより、歩いた後の疲労感の軽減に相当の効果を感じることができた。
ミッドソールにも注目だ。重い荷物を背負った場合、ミッドソールが柔らかすぎると荷重に負けてしまい足が不安定になると同時に踏ん張りがきかないので筋力でのカバーが必要となる。逆にミッドソールが硬すぎると着地時の衝撃が足腰に大きな負担となる。この点、バフィンGTに採用されたPUミッドソールは柔らかさと硬さのバランスがよい。衝撃を吸収してくれながらも、高い反発性能もあるため、安定して軽快に歩くことができる。さらに、かかと部分にあるTPUスタビライザーがかかとのねじれやブレを防ぎ、これも安定性をより一層高めている。
ぼくは左足首を剥離骨折しているので足首を内側に捻りやすい。歩きつかれたときは特に注意して歩かなければならないが、安定感に優れるバフィンGTはそのような心配も軽減してくれる。
高品質レザーだからこそ

イタリアの職人がこだわりをもって作ったレザーブーツ。だからこそ、使えば使うほどに愛着がもてる。 |
素材に使われているレザーはすべて高品質のヌバックレザー。ヌバックレザーは傷がつきにくく、撥水性もある。さらに、痛みやすいアッパーのつま先部分はラバーラウンドで補強されている。
このほかにも工夫がたくさんある。ベロやかかと部分、足首には適度な硬さをもたせたクッションが入れられ、重荷を背負ったときでも足首をしっかりとサポートしてくれる。さらに、足首部分には通気性に優れるメッシュを採用し、足首の蒸れも少ないなどだ。履くほどに足に馴染むのもレザーブーツならではのヨロコビだ。
ここにあげたバフィンGTの特徴、とくにソフトな足入れと高い安定性はお店での試し履きだけでも十分に実感できると思う。重たい荷物を背負っての長時間歩行でもしっかりと足をサポートしてくれるから、小屋泊まりはもちろん、テント泊縦走にもオススメの一足だ。
執筆・取材 成瀬洋平(なるせようへい)
1982年岐阜県生まれ。ライター、イラストレーター。『岳人』『フィールドライフ』などで活動中。東京都在住。