さらば、背面パネルの蒸れ感。  夏山で差がつくシステムを搭載。

ドイター・フューチュラ32

文・若月武治

他の追随を許さないベンチレーション機能

 バックパックを選ぶ際、店頭などでフィッティングを行うのが基本とされるが、その点でドイターはすこし不利である。なぜなら長時間背負ったときの快適さをその場で実感できないからだ。この「フューチュラ」シリーズに搭載された「エアコンフォート フューチュラシステム」は背中に爽やかな風を感じられる、独自の機能が盛り込まれている。

 独自というのはすこし語弊があるかもしれない。背面パネルを弓なり形状にして空間を持たせる機能はドイターがあみだしたお家芸だったが、近年では他ブランドもこの発想に注目して商品化をしている。だから特に貴重ではなくなったかというと、それはまったく別次元の話になってしまう。ドイターはさらなる進化を遂げていたからだ

 まず写真1、2では空間のできた状態を確認することができる。適度な空間を持たせて、メッシュパネルが背中の凸凹にもフィット。夏の家屋の多くが網戸で過ごすように、涼しい空気が通り抜けていくだろう。

 そして3の写真。これは他では見られないボトム部分の空間で、ベンチレーション型背面パネルの先駆者としての技術の高さと発想の斬新さが伺える。左右&ボトムというトータル3箇所の風の抜け穴を持つことで快適さがさらに向上し、もちろんフィット性にも妥協がないのだ。

写真1:
背面の大きな空間
写真2:
背中にしっかりとフィットするメッシュパネル
写真3:フレッシュな空気は下からも入る

ビギナーも視野に、ハイカーの背中を押す細部スペック。

写真4:
サイドベロウズポケットは左右に装備

写真5:
ストレッチコードを用いたホルダー

写真6:
レインカバーは紛失しないよう収納スペース内のループに留めてある。
写真7:
行動食などの収納にも便利
写真8:
柔らかなパッドが入ったショルダーハーネス

 トップローディング(雨蓋式)のバックパックの弱点は、小物の収納力である。もちろん雨蓋やその他のポケットも有効だが、その弱点を的確に補えるのはサイドポケットとなる(写真4)。ウォーターボトルを収納できる容量が両サイドに。ちなみにウォーターボトルをカラビナなどでぶら下げているスタイルは個人的には良いと思わないし(紛失しやすく、ときに危険もともなう)、ぜひこうした露出しない方法で山を歩きたいと思う。

 現代の登山スタイルに合わせた機能も紹介しよう。写真5のストックホルダーはバスや電車での移動には便利だし、ストック先端が下になるため安全性も確保される。写真6のレインカバーは、雨の多い我が国・日本では必要不可欠なもの。専用の収納スペースがあるため、雨に遭ってもよりスムーズに取り出せる。ウエストベルトに付く小物ポケットは、コンパクトデジカメを入れてちょうど良い大きさだった(写真7)。重い一眼レフを携行するのは難儀だし、いざシャッターチャンスが訪れてもカメラがパックの中では瞬間を逃してしまうだろう。それを踏まえると、ウエスト部分に常にカメラがあるのは現代ハイカーにとっては理想的ともいえる。

 このフューチュラを背負っていて「気持ちいいな」と実感できた点、それがS字にカーブしたショルダーハーネスである(写真8)。身体の曲線に沿ってストレスポイントをほぼゼロにした形状。もちろん個人差があるだろうけど、私には非常に有効だった。これからハイシーズンを迎える夏山で、ぜひ行動を共にしたいモデルである。


若月武治(わかつきたけはる)
1974年生まれ。静岡県出身。登山およびアウトドア関連雑誌での執筆、制作物のディレクションを行う。ハタケスタジオ主宰http://hatakest.com/